切れない糸(坂木司)

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<本の内容>
俺、新井和也。家は商店街によくある町のクリーニング屋さ。新井と洗いをかけた「アライクリーニング店」が屋号。年じゅうアイロンの蒸気に包まれて育った俺は、超寒がりときている。大学卒業をひかえたある日、親父が急死した。就職も決まっていない俺は、しかたなく家業を継ぐことに。おおざっぱな性格の母親、アイロン職人のシゲさん、そして長年パートとして店を盛り立ててくれている松竹梅トリオの松岡さん、竹田さん、梅本さんに助けられ、新たな生活がスタートしたんだ。目下のところクリーニング品の集荷が、俺の主な仕事。毎日、お得意さんの家を訪ねては、衣類を預かってくるというわけ。ところが、あるお得意さんから預かった衣類は…。

<感想>
父親の急死から家業を継ぐようになったちょっと悲しい場面から物語は始まる。
クリーニング屋がこんなに町に溶け込み、あらゆる情報を把握できる職業だとははじめて知った。
ちなみに私の父親はクリーニング師の資格を持っているが、クリーニング屋に将来はないと考え、昭和30年代後半に婦人服の仕上げ屋を立ち上げた。アイロン一つで家族4人を養ったのだがら、それはそれで大したものだと思う。まあ、子供2人(私と弟)は高校から奨学金のお世話になったから、決して裕福でなかったが・・・・・・
化学反応だとかあまり理屈は考えていなかったようだが、60代半ばまで仕事ができたのだから幸福だったのだろう。79歳の今も健在だ。
職業に貴賎はない。どの職業にも必要とされる理由があるのだなと思い知らされる作品だ。

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